日本の道路には公道と私道の区別が存在しています。
日常生活でこれらの区別を意識することは多くないかもしれませんが、物件を建てたり購入したりする際には、この2つの区別を理解しておかなくてはいけません。
公道と私道の違い、そして私道が面した物件の特徴について確認してみましょう。
私道の定義と基礎知識!公道との違いとは?
公道が不特定多数の人や車の通行を目的として作られた道路であるのに対し、私道は分譲住宅地内の道路や教習所の道路など、個人や法人が持つ土地の中に作られた道路のことを指し、通行には許可を得る必要があります。
公道の整備は国や自治体により行われますが、私道は地主や土地の購入者が共同の所有者となっており、整備や管理はある程度独自に行わなければなりません。
しかし、公共性が高いとみなされた私道には公道と同じ規則が適用されることもあり、その扱いはさまざまです。
私道と公道の法律上の違い
道路交通法の観点では、道路法第3条で規定されている「高速自動車国道」「一般国道」「都道府県道」「市町村道」、そして道路運送法第2条で規定されている「専用自動車道」「一般自動車道」、また一般交通に利用される道路が公道と定義されています。
それ以外の道路は私道として扱われますが、私道のなかでも公共性が高いと判断されたものは道路交通法2条で規定された「道路」とみなされ、無断駐車などを禁じる法律の適用対象となる可能性があります。
一方、建築基準法の観点では私公道と私道の区別以上に、建築基準法で定義された道路とみなされるかどうかが重要です。
建築基準法では、建築物は幅が4m以上の道路に2m以上接しなければならないと定められており、この接道義務を満たせない場合は公道、私道の違いに関わらず基本的に建築を行えません。
実際は建築基準法の成立前に作られた物件や、例外的な事例では幅4m以上の道路に接していない建築物も存在します。
こういった物件は再建築が不可能になる可能性もあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
私道に面した物件に住む際の注意点と公道に面した物件との違い
私道に面した物件で生じる特殊な制度のひとつが私道負担です。
これは個々の敷地内に私道分の面積を負担するもので、接している私道の幅が接道義務の基準に満たない場合などに発生することがあります。
私道負担の面積は自身の敷地内であっても建築が不可能です。
また、住人の共同名義で所有された私道に面している物件では、固定資産税や不動産取得税などの各種税金の負担も発生する可能性があります。
道路整備費用や配管工事費用の負担が必要となるケースも存在するので、私道に面した物件を購入する際は、事前に私道がどのような扱いになっているか確認しておくとよいでしょう。